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ウナギの住みよい河川環境を解明し、保全につなげる!

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SUCCESS
Kumai Yusuke
東京大学、1st year of doctroral course
Pledged: 643,400 JPY
Target Amount: 500,000 JPY
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Profile

Kumai Yusuke

私は幼少の頃から釣りキチで、釣りに明け暮れる毎日を過ごしていました。中学生の頃に釣りを通して水産資源の持続可能性に興味を持ち、大学では水産資源学研究室という研究室でウナギ属魚類(以下、ウナギ)の研究を始めました。研究を進めていくうちに、その不思議な生態とそれを解き明かす楽しさに魅せられ、博士課程へ進学するに至りました。

現在は屋久島に長期滞在しながらウナギの研究を進めています。雨が非常に多い屋久島での研究は思い通りに進まないことも多いですが、新しいことを発見できた時の喜びはこの上なく大きいです。将来的には研究者として、まだ多くが謎に包まれているウナギの生態に人生をかけて迫りたいと考えています。

あなたが研究を通して成し遂げたいことはなんですか?

ウナギにとって最適な河川の生息環境を解明し、ウナギの保全に貢献することです。

ウナギは世界に広く分布し、人類に食料を供給する重要な魚類です。しかし、その資源量は近年、いくつかの種で急激に減少しており、蒲焼きとして消費されるニホンウナギなどは、すでに絶滅危惧種に指定されています。このような資源量の減少を抑制するためには、ウナギの重要な成育場のひとつである河川において、ウナギに最適な生息環境を保全することが不可欠です。

日本には主に、インドネシアから南日本にまで分布するオオウナギと、ベトナムから北日本にまで分布するニホンウナギの2種のウナギが分布しています。両種は一生の中で、マリアナ海嶺付近にある産卵場と成育場である河川とをまたぐ大回遊をすることが明らかになるなど、その海洋における回遊生態がこれまで盛んに調べられてきました。一方で、実は、河川での最適な生息環境など、身近な河川における生態を調べた研究は決して多くありません。そのため、現状では、河川のウナギを保全するうえで必要な情報は絶対的に不足しています。そこで今回は、この2種に焦点を当て、各種に最適な生息環境を解明したいと考えています。

どのようなアプローチで実現しようとしていますか?

屋久島と種子島の河川に異なるウナギが多く生息する原因を解明することで、実現したいと考えています。

南日本に位置する屋久島と種子島の河川では、オオウナギとニホンウナギの2種のウナギが共存しています。しかし、この2島は近接するにも関わらず、屋久島の河川にはオオウナギが、種子島の河川にはニホンウナギが多く生息しています。

この2種は北太平洋のほぼ同じ海域で生まれ、その稚魚であるシラスウナギは黒潮に運ばれて屋久島と種子島の河川にやってきます。このため、稚魚の段階では、両島で2種の組成は同じであり、前述の種組成の違いは、稚魚が河川に遡上した後の「生き残りやすさ」の違いにより生じているのではないかと考えています。つまり、屋久島の河川ではオオウナギが、種子島の河川ではニホンウナギが生き残りやすい環境が多く存在するために、種組成の違いが生じている可能性があるのです。

実際に屋久島と種子島の河川環境は大きく異なっており、この2島を比較し、どのような河川環境の違いが種組成の違いを生み出しているのかを解明することで、各種に最適な生息環境を明らかにできると考えています。

今回のプロジェクトで行う研究テーマはなんですか?

今回のプロジェクトでは、屋久島と種子島の河川において、オオウナギとニホンウナギがそれぞれどのような環境を好んで利用するかの解明に取り組みます。

具体的には、屋久島と種子島の河川の様々な場所で2種を採集するとともに、その場所で水深、水流の速さ、川底にある岩の大きさ、濁り具合などの環境指標を計測することで、ウナギが日中に利用する生息環境を明らかにします。また、ウナギに小さな発信機をとりつけて行動を追跡するバイオテレメトリーという手法を用いて、ウナギが夜間に河川のどのような場所をどのような割合で利用しているかを調べます。このような調査により、様々な成長段階のオオウナギとニホンウナギが、河川のどのような環境を好んで利用するのかを明らかにしたいと考えています。

最終的には、これらの結果を踏まえ、屋久島と種子島の河川環境の違いのうち、各種にとって生き残るうえで重要な環境条件を明らかにすることで、各種に最適な生息環境を解明することを目指します。

Why we need your support

ウナギは資源量の減少が問題になっているのにも関わらず、まだその生態の多くが謎に包まれており、保全に必要な情報が不足しています。このため、私は、自身の生涯をかけてその生態の謎に迫るとともに、ウナギを持続的に利用できる世界を実現していきたいと考えています。しかし、これを実現するためには研究を行うだけでは不十分で、少しでも多くの方に、ウナギの資源量が減少しているという現状とその不思議な生態の魅力を知っていただくことが重要と考えています。今回のチャレンジが、より多くの方にウナギの資源生態に興味をもっていただける機会になれば、この上なく嬉しい限りです。

ご支援いただいた資金は、屋久島・種子島までの旅費や現地での滞在費、バイオテレメトリーに用いる発信機の購入資金などに充てさせていただきます。野外調査やバイオテレメトリーには多額な資金を必要としますが、私は本プロジェクトを通じてウナギの保全に貢献したいと強く考えています。どうかご支援のほど、何卒よろしくお願いいたします。

Recommender's comment

山川卓
東京大学 大学院農学生命科学研究科 水産資源学研究室 准教授

河川生態系の上位捕食者であるウナギを保全することは、その栄養段階の下位に位置する他の種を含めた生態系全体の保全に繋がります。このため、ウナギの最適な生息場を明らかにする熊井君の研究は、ウナギだけでなく、河川生態系全体を保全し、その生物多様性を向上させるうえでも重要です。近年、淡水域において生物多様性の著しい低下が報告されていることからも、ウナギを保全する必要性は高まっているといえます。ぜひ本研究をご支援ください。

黒木真理
東京大学 大学院農学生命科学研究科 水産資源学研究室 准教授

古くから食料として利用されるだけでなく、時に絵画の題材や信仰の対象になるほどヒトと密接な関わりのあるウナギは、環境問題や水産資源の持続的利用を考えるうえでも象徴的な種として機能し、その保全は大きな意味をもちます。しかし、ウナギの保全に必要な基礎生物学的な知見はまだ十分でなく、熊井さんが取り組んでいる研究はこのギャップを埋めるために重要と考えています。ぜひ彼の挑戦をご支援ください。

三田村啓理
京都大学 フィールド科学教育研究センター 海洋生態系部門 海洋生物環境学分野 教授

ウナギは、昼間は河川内の岩の隙間や砂中等で過ごしますが、夜間は餌を求めて活発に移動します。昼間は採集調査や目視観察でウナギに出会えますが、残念ながら夜の暗闇のもとではすれ違いが続きます。熊井さんは、昼間の採集調査と、昼夜を問わずウナギの行動を長期にわたり把握できるバイオテレメトリー技術を併用し、ウナギの最適な生息環境の解明を目指しています。このような網羅的な調査研究はこれまでに限られており、本研究から得られる基礎的情報はウナギの保全に大きく寄与すると考えています。ぜひ本研究をご支援ください。

渡邊俊
近畿大学 農学部 水産学科 准教授

世界に16種が存在するウナギ属魚類は、生態系の悪化や乱獲により、絶滅危惧種に指定されている種以外でも資源の減少が懸念されています。しかし、いずれの種においても保全や資源回復に必要な情報、特に成長期である河川生態についての知見は未だ十分に得られているとは言いがたい状況です。このため、熊井君の研究から得られる2種の最適な生息環境に関する知見は、2種のみならず、今後、他のウナギ属魚類の保全や資源回復を行ううえでの重要な基礎情報となり得ます。ぜひ彼の挑戦をご支援ください。

Project timeline

Date Plans
2023年6月~2024年7月 屋久島と種子島において調査を進め、データを取得
2024年4月 論文執筆を開始
2024年3月 得られた成果を国内学会で発表
2025年3月 得られた成果を国内学会で発表

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